何も決まっていない旅から離れて「普通」の「決まった」旅へ
私は以前、香港を拠点にする航空会社で客室乗務員をしていました。
月に100時間ほどを空の上で過ごし、10日間として同じベッドに寝ることはない、という生活を2年半続けました。月に2本の長距離便ではヨーロッパや北米、オーストラリアなどの町を寝ずに歩き回り、バンコクでマッサージ、台北では小龍包、博多でラーメン、というのが日常の生活を送っていました。月に半分ほどある休み中には航空会社社員専用の割引チケットで「どこか乗れそうな飛行機」に乗って旅をしたものでした。
そのときの旅のスタイルは
1.行き先は大体決めておくけれど、空港に行って実際に乗れるか分かるまでは未定。
なのでヨーロッパ方面に行きたいな、と思っている場合はとりあえずパリ便、フランクフルト便、チューリッヒ便などのチケットをあらかじめ用意しておき、乗れたら乗る!さらに乗り継ぎで別の目的地がある場合は、パリ経由の場合、フランクフルト経由の場合、というパターンをいくつか頭の中であらかじめシミュレーションしておき、飛行機に乗れた時点でそれを実行する。
それがアジアの場合だったらとりあえずバンコク行きとハノイ行きのチケットを用意しておいて、席が空いてそうな便に飛び乗って現地を楽しむ!
ちなみにチケット代は実際に搭乗して初めて給与口座から引かれるので、いくつかのパターンを用意していても、リスクはゼロでした。
2.ホテルは空港に到着してから直接ホテルに電話するなり、ツーリストオフィスで紹介してもらうなりで現地調達。
3.次の仕事に間に合うように帰れるのであれば、その街、ホテルの「気に入り度」により1泊の予定が2泊、3泊になることもしばしば...。
でも乗務員を辞めてしばらくしてから気づいたのです。こんな旅のスタイルは普通に日本で会社員として働いていたらまず不可能だということに。
まず、行き先はあらかじめ決めておかないとダメだし、日程も固定、ホテルも現地に行ってから探す効率を考えると事前にネットや旅行会社を通じて予約して、という「きめられた」旅のスタイルがすっかり自分の中で定着してきました。学生時代やクルー時代は少しでも安く、長く、いろんな経験を、と思っていたのが今は効率的に、無駄なく、且つ質も保つ、という風に変わってきました。
昔の方が「旅」としては自由で「幅」があったなぁ、と思いつつ、効率的で快適な旅を選んでしまう今日この頃です。
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